川崎医大“くすのき会”の献体22年
川崎医科大学 くすのき会 川崎医科大学は学園長・川崎祐宣が昭和45年4月に開設し、平成8年で設立26年をむかえた、“人間をつくる。体をつくる。医学をきわめる”を建学の精神とし、大学教育では、6年一貫教育、学年・三学期制、統合講義カリキュラム、臨床実習の重視を柱とし、“良医養成”をめざしている。解剖学の教育は大学設立より二教室体制でおこなわれ、主に第一教室が肉眼解剖学を担当して来た。平成7年4月より大教室制となって、現在は一つの解剖学教室として、解剖学の教育・研究を担当している。医大開設当初は、献体に関する社会的な認識も低く、解剖実習に使用する遺体の収集が大変に難しい状況であった。学園長を始めとする医大の全面的な支援を得て、大学設立4年後の昭和49年に献体の会“くすのき会”が発足した。初代会長奥原東一郎氏、二代目会長雨宮茂氏、現会長岡田武之氏をはじめとする会員からの支持によって、解剖体収拾活動は迅速に軌道に乗った。遺体収容数は昭和50年代は年間30−40体であったが、昭和60年代で60体へと増加し、以後今日に至っている。この3月末で1,241体を大学にお迎えした。くすのき会の会員は岡山・倉敷両市を中心とした岡山県内在住者で、入会者は4月で2,000名を越えた。くすのき会の事務は川崎医大学務課と解剖学教室が担当し、毎年5月にくすのき会の総会とそれに引き続いて解剖体慰霊祭をとり行っている。 くすのき会の活動の一環として、総会は例年医大の現代教育博物館の3階小講堂で行われ、会員120名と学園関係教職員が出席する。事業報告・決算報告の審議の後、医大の教授を講師とする“健康に関する講演会”があり、記念撮影の後、昼食懇親会がおこなわれる。引き続いて午後には、現代医学教育博物館2階の大講堂に会場を移して、解剖体の霊に感謝する追悼の慰霊祭が無宗教・献花方式で厳粛に執り行われている。ご遺族、くすのき会会員、学園長はじめ大学教職員ならびに学生約300名が参列し、慰霊祭終了後に、御遺族に御遺骨が感謝状とともに渡される。会報“くすのき”の発行もくすのき会活動のひとつである。会員からの寄稿文や会員名簿の他に、献体に関する大学からの連絡や学生の解剖実習感想文を掲載し、隔年に発行している。会報10号はこの秋に発行の予定である。大学事務局と解剖学教室の緊密な協力で県内の施設への広報活動を行い、くすのき会の岡田会長をはじめとする会員の皆様の献体に関する御理解のもとに、川崎医大への献体は円滑にすすめられている。(平成7年5月27日) 【追記】本学くすのき会を創設し、また自らも会員であった川崎祐宣学園長は平成8年6月2日、92才で永眠され、大学教職員とのお別れの会の後、ご遺体は6月3日解剖学教室に献体された。 (平成8年6月12日 解剖学教授 佐々木和信)
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